ビデオ通話で注文、その日のうちに玄関先へ 団地の一角から始まった小さな試み

買い物に行けない人のところへ、店員が商品を届けてくれる。しかも注文は、タブレットのビデオ通話で店員と話しながらできる。東京都日野市の高幡台団地で、そんなサービスが2026年8月4日に始まりました。
まだ実証実験の段階で、対象も団地にお住まいの一部の方に限られています。それでも、この小さな一歩には、買い物に困っている方にとって大きな意味があるように感じます。
団地のなかに開いた「ハッピーローソンタウン日野高幡台店」
新しくオープンしたのは「ハッピーローソンタウン日野高幡台店」。ローソン、KDDI、UR都市機構が連携して進める「ハッピーローソンタウン」構想の、集合住宅型としては全国1号店にあたります。24時間営業で、日野市とも連携しています。
団地は建てられてから年数が経ち、住民の高齢化が進んでいる場所が少なくありません。坂道や階段が生活のなかに当たり前にあり、若いころは気にならなかった数百メートルが、年を重ねるとずいぶん遠く感じられるようになります。その「遠さ」に、お店のほうから歩み寄っていくという発想が、この店舗の根っこにあるのだと思います。
「注文のしかたが分からない」を、置き去りにしない
注目したいのは、タブレットを使った買い物支援です。
- 団地内にお住まいの一部の方に、専用のタブレットを貸し出す
- 画面から商品を注文すると、店舗の従業員が即日で自宅まで届ける
- 操作に迷ったときは、ビデオ通話で店員が画面越しに説明しながら注文を進められる
- 実証の期間は2026年11月末までを予定
ネットスーパーや宅配サービス自体は、もう珍しいものではありません。ただ、これまでのしくみは「自分で申し込み、自分で操作できる人」が前提になりがちでした。そこでつまずいてしまう方が、実際にはとても多いのだと感じます。
ビデオ通話でのサポートは、その一番大きな段差を埋めてくれます。画面の向こうに、顔の見える店員がいる。 分からなければ、その場で聞ける。慣れないことに向き合うとき、この安心感はとても大きいはずです。手が離せない子育て世代にとっても、心強いしくみになりそうです。
買い物だけで終わらない、まちの居場所として
店内の作りも、地域の暮らしに寄り添ったものになっています。
- 生鮮食品の取り扱い:コモディイイダ永山店から野菜などの生鮮品・精肉・冷凍魚を運び入れ、通常のコンビニ商品とあわせて販売
- イートインスペース:全26席。8人が座れる小上がりもあり、腰かけてひと息つける
- Pontaよろず相談所:事前予約なしで専門スタッフに相談できるオンライン相談。暮らし、通信、インフラ、金融サービス、日野市民相談などのメニューがそろう
- 調剤薬局:クオール薬局が9月1日オープン予定。薬や在宅医療の相談、介護用品・介護食の販売にも対応
- 防災機能:太陽光発電や蓄電池、衛星通信、災害時用のおにぎりやトイレを常備
買い物のついでに、困りごとを相談できる。ちょっと座って、近所の人と言葉を交わせる。用がなくても立ち寄れる場所が団地のなかにあることは、それ自体が見守りのはたらきをするのだと思います。
静かに、うまくいってほしい試み
もしこのしくみが根づいて、全国に広がっていったら。坂の多い地域や、お店が遠のいてしまった地域で、自分の体力に不安を抱えながら暮らしている方にとって、明るい知らせになるはずです。
買い物に行けなくなることは、食べるものが手に入らないというだけの話ではありません。人と会う機会が減り、外に出る理由が少しずつ失われていくことでもあります。だからこそ、商品と一緒に「店員が訪ねてくる」という形であることに、意味があるように感じます。
実証実験なので、うまくいかない部分も出てくるかもしれません。それでも、こうした試みが各地で少しずつ増えていくことを、静かに応援していきたいと思います。
(広報担当)
