ブログ

Blog

補聴器の重要性 ― 早めの一歩が「聞こえ」と暮らしを守る

家電量販店や眼鏡店の一角、あるいはショッピングモールの催事コーナーで、補聴器の無料体験コーナーを見かけたことがある人は少なくないはずだ。実際に試してみたことがある、という声もよく耳にする。ただ、多くの場合はその場限りで終わってしまい、購入や継続的な検討にまで至らないことが多い。しかし「聞こえ」への早めの対応は、暮らしの質そのものに関わってくる問題として、あらためて見直す価値がありそうだ。

音が聞こえることで、脳は元気になる

補聴器を使い始めた人の変化として、家族から「表情が明るくなった」「会話への反応が早くなった」という声が寄せられることは珍しくないという。音の刺激が脳へ届くことで、聴覚に関わる神経回路が働き続け、結果として受け答えや反応にも活気が戻ってくると考えられている。逆に聞こえにくさを放置してしまうと、会話への参加が減り、脳への刺激そのものが乏しくなっていく。この違いは、日々の暮らしぶりにじわじわと表れてくるものだと感じる。

認知症の進行を遅らせる可能性

近年の研究では、加齢性の難聴と認知機能の低下には関連があるとする報告が増えている。聞こえにくさによって会話や社会的なつながりが減り、それが認知機能への負荷になっているのではないか、という指摘だ。補聴器を用いて聴覚からの情報を補うことが、認知症の進行を遅らせる一助になる可能性があるとする見方も専門家の間で語られている。断定できる話ではないが、選択肢の一つとして知っておいて損はない情報だろう。

早くつけるほど、「つけ方」を忘れない

補聴器は、体に馴染ませるまでに時間がかかる機器でもある。装用そのものに慣れる、雑音と会話音を脳が区別できるようになる、日常の一部として自然に扱えるようになる――こうした過程には、ある程度の練習期間が必要とされている。聞こえにくさが進んでからでは、機器の操作や装着そのものを新しく覚えることが負担になりやすい。逆に、聞こえの衰えがまだ軽いうちから使い始めれば、体も生活リズムも無理なく順応していきやすい。「早すぎるかもしれない」というためらいよりも、「慣れておく」という発想の方が、後々の暮らしやすさにつながるのではないだろうか。

なぜドイツ・デンマーク製が多いのか

店頭に並ぶ補聴器を見ると、ドイツやデンマークのメーカーが目立つことに気づく人もいるだろう。両国は精密機器や音響工学の分野で長い技術的な蓄積を持ち、加えて福祉制度が手厚く整えられてきた歴史がある。聴覚に障がいのある人への支援が社会制度として早くから根づいていたことが、研究開発への投資や技術の洗練につながってきた、という背景があるようだ。単なる工業製品としてだけでなく、福祉先進国としての土壌が積み重なって、現在のシェアの高さに結びついていると見ることができる。

補助金制度は「早めの準備」がカギ

補聴器の価格は決して安くはなく、性能によっては高額になることも多い。そうした負担を軽減するため、自治体によっては購入費用の一部を助成する制度を設けているところもある。ただし、こうした助成を受けるには、いくつかの段取りを踏む必要があるケースが一般的だ。

  • 医師による意見書の取得
  • 自治体への事前申請
  • 審査・交付決定を経てからの購入

手間と時間がそれなりにかかる仕組みのため、思い立ってすぐに使える制度ではない。必要になりそうだと感じた時点で、早めに情報を集めておくことが結果的に負担を減らすことにつながりそうだ。

補聴器は決して安価な買い物ではなく、誰もが気軽に手を出せるものではない。ただ、聞こえを補うことが脳の働きや日々の活力、そして人とのつながりにまで影響を及ぼす可能性を踏まえると、介護予防の一環として一度検討してみる価値はあるのではないかと筆者は考えている。

(広報担当)

SHARE
シェアする

ブログ一覧

ページの先頭へ