「支える仕事」がもっと身近に──社会福祉士国家試験、過去最高の合格率を記録

誰かの暮らしを、そっと支える仕事がある。病気、障害、高齢、貧困、家庭内の問題──人生にはさまざまな困難が訪れますが、そんなときに寄り添い、一緒に解決策を考えてくれる専門家がいます。それが「社会福祉士」です。
2026年3月、その社会福祉士をめぐる、少し明るいニュースが届きました。
そもそも「社会福祉士」ってどんな仕事?
社会福祉士とは、国家資格を持つ福祉の専門職です。高齢者・障害者・子ども・生活困窮者など、日常生活を営むうえでさまざまな困難を抱えた人々に対して、相談援助を行うことを主な仕事としています。
病院の医療ソーシャルワーカーとして退院後の生活を支援したり、地域包括支援センターで高齢者の介護相談に乗ったり、児童相談所で子どもと家庭の問題に向き合ったり──活躍の場は非常に幅広く、社会のあらゆる場所で必要とされている職業です。
「社会福祉士」の名称を使って仕事をするには、国家試験に合格したうえで登録を行う必要があります。つまり、誰もが名乗れるわけではなく、きちんとした知識と倫理観を持った人だけが就ける、責任ある資格なのです。
第38回試験、合格率60.7%で過去最高に
厚生労働省は2026年3月3日、第38回社会福祉士国家試験の結果を発表しました。合格率は60.7%と、これまでの記録を塗り替える過去最高の数値となりました。前回(第37回)の合格率も過去2番目の高さでしたが、今回はそこからさらに4.4ポイント上昇しています。
試験は2026年2月1日に実施され、受験者数は2万5,430人。前回比で約7.9%の減少となり、2年連続で3万人を下回りました。合格者数は1万5,438人で、前回比0.8%減となっています。
新卒者の合格率は8割超えも
属性別に見ると、合格率の高さが際立つのは新卒者です。福祉系大学の新卒者は78.4%、一般養成施設出身者にいたっては81.7%という高い合格率を記録しました。短期養成施設でも70.8%と、おおむね7割以上の新卒者が合格していることになります。
一方、既卒者(社会人として実務を経験しながら受験する層)の合格率は、いずれの場合も4割前後にとどまっています。学習時間の確保が難しい社会人受験者にとっては、依然として高いハードルであることがわかります。
なぜ、合格率が上がってきたのか
この合格率上昇の背景には、出題内容の見直しがあります。厚生労働省の検討会が2022年にまとめた報告書の提言を受け、第35回試験から出題の方向性が変わりました。福祉系大学などで学んだ基本的な知識をきちんと問う構成に改められたことで、大学でしっかり学んだ新卒者が合格しやすくなったと考えられています。
受験者数が減少した点については、合格率の上昇によって「何度も受け直す既卒受験者」が減ったことが影響しているとみられています。つまり、試験の質が上がったことで、一発合格者が増え、リピーターが減ったという構図です。
「支える人」を増やすことの意味
少子高齢化が加速する日本社会において、福祉の専門家への需要はこれからますます高まっていきます。認知症高齢者の増加、ひとり親家庭の支援、生活困窮者の自立支援──社会福祉士が関わる課題は、私たちの暮らしのすぐそばにあります。
合格率が上がり、質の高い専門家が安定して社会に輩出されていくことは、困っている誰かにとって、たしかな希望になります。数字の裏には、それぞれの受験生の努力と、支えたいという意思があることも忘れずにいたいものです。
社会福祉士という仕事を、もう少し身近なものとして感じてもらえれば、うれしいです。
(広報担当)
