介護人材の処遇改善、2026年度臨時改定で新たな展開へ ―現場が知るべき最新動向―

日本の社会保障制度において、介護人材の確保は喫緊の課題となっています。特に、他産業との賃金格差を是正するための「処遇改善」については、制度の複雑化を解消しつつ、より実効性の高い仕組みへの移行が進められています。
2024年6月に新たな処遇改善加算が施行されてから約1年8ヶ月が経過した現在(2026年2月時点)、介護報酬の異例の臨時改定が目前に迫っています。現場ではどのような変化が起き、今後どのような方向性が示されているのか、最新の客観的な情勢を整理します。
2024年6月施行:新たな「介護職員等処遇改善加算」の一本化とその狙い
2024年6月から施行された新しい「介護職員等処遇改善加算」は、それまで個別に存在していた3つの加算(処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算)を一つに統合したものです。
この一本化の主な目的は以下の2点に集約されます。
- 事務負担の軽減
各事業所が複数の加算を個別に申請・報告する手間を減らし、より現場のケアに集中できる環境を整えること。 - 配分の柔軟性向上
職種間の賃金バランスを事業所の判断で柔軟に調整しやすくすること。これにより、介護職員だけでなく、現場を支える他のスタッフ(ケアマネジャーや事務職員等)の処遇改善にも対応しやすくなりました。
厚生労働省は、この新加算により令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップを実現することを目標に掲げています。
2026年6月:異例の「臨時改定」が実施へ
過去最高水準の改定率+2.03%
政府は2025年12月、2027年度の定期改定を待たずに、2026年6月に臨時(期中)の介護報酬改定を実施することを決定しました。改定率は**+2.03%**と過去最高水準で、主に処遇改善に充てられます。
この臨時改定の背景には、介護職員の賃上げが進んでいるものの、他産業ではそれを上回る高水準の賃上げが行われており、賃金格差が拡大してしまっているという現状があります。
処遇改善の対象が大幅拡大
今回の臨時改定では、処遇改善の対象が大きく広がります。
- 従来: 介護職員のみ
- 2026年6月以降: 介護従事者全体(事務職員なども含む)に拡大
- 新たな対象サービス: 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援(ケアマネジャー)なども処遇改善加算の対象に追加
訪問介護など人材不足が深刻なサービスでは、特に高い加算率が設定される見込みです。
持続可能な制度設計への課題
賃上げは職員の離職防止に直結する重要な要素ですが、一方でその原資は介護保険料や公費、そして利用者の自己負担で賄われています。
今後、さらなる処遇改善を進めるためには、単に報酬を上げるだけでなく、以下のような総合的な取組が求められています。
- 介護ロボット・ICT機器の活用による業務効率化
- タスク・シフティング(業務の移管)の推進
- 介護助手の活用など役割分担の明確化
- 経営の効率化と質の確保の両立
介護の質を維持しながら、働く人の生活を支え、制度を持続可能なものにしていく。2026年6月の臨時改定、そして2027年度の定期改定へと続く一連の改革から、目が離せません。
(広報担当)
