もうすぐ中秋の名月――言葉の由来と伝統、介護現場での取り入れ方

来週10月6日は中秋の名月です。
秋の夜空にぽっかりと浮かぶ満月。その美しさを愛でる行事が「中秋の名月」です。旧暦8月15日を指し、太陰太陽暦で一年の中でも最も月が明るく澄んで見えるとされてきました。
中秋の名月の由来
「中秋」という言葉は、旧暦の秋(三か月間)のちょうど真ん中にあたることから生まれました。中国では「中秋節」と呼ばれ、古くから五穀豊穣や家族の団らんを願う日として親しまれてきました。その文化が奈良・平安時代に日本へ伝わり、宮中や貴族の間で「観月の宴」として広がります。池や庭園に月を映し、和歌や音楽を楽しむ風習は、やがて庶民にも浸透し、稲の収穫や健康を祈る行事として受け継がれていきました。
日本の伝統とお供え
中秋の名月といえば「月見団子」「ススキ」「秋の収穫物」です。
- 月見団子 … 満月の形を模した団子は、豊作や家族の健康を祈る象徴。
- ススキ … 稲穂の代わりとして供えられ、魔除けの意味も込められました。
- 秋の恵み … サトイモや栗、果物を供える地域もあり、「芋名月」と呼ばれるのはその名残です。
これらは単なる飾りではなく、自然の恵みに感謝し、人と人とのつながりを確かめ合う大切な習慣でした。
介護施設での取り入れ方
介護施設においても、季節行事を取り入れることは、利用者さんにとって生活のリズムや心の潤いをもたらす大切な要素です。
- 飾りつけで雰囲気を演出
ススキや折り紙の満月を飾るだけでも、空間がぐっと季節らしくなり、会話のきっかけになります。 - お供えを再現
小さなお皿に団子や果物を並べると「昔はこんなふうにしたね」と記憶がよみがえります。食べやすい白玉やプリンを団子代わりにすれば安心です。 - 歌や俳句を楽しむ
「うさぎうさぎ」などの童謡を歌ったり、短い俳句を考えたりすると、自然に笑顔が広がります。 - 月見の会を開く
天気がよければ外へ出て夜空を眺め、難しい場合は窓から月を見たり、写真や映像で満月を楽しんだりすることもできます。
利用者さんの思い出と心の交流
中秋の名月は、多くの高齢者にとって子ども時代や家族との思い出と結びついています。
- 「縁側に家族で座って、団子を食べたのが懐かしい」
- 「農作業が一段落して、ほっとした気持ちで眺めた」
- 「戦時中も、月を見ながら故郷を思い出した」
こうした語りが自然に始まり、利用者さん同士やスタッフとの心の距離が縮まります。認知症の方でも、月を眺めると表情が柔らかくなり、安心した様子を見せることもあります。
まとめ
中秋の名月は、ただ月を眺めるだけではなく、自然への感謝や家族とのつながりを思い起こさせてくれる特別な日です。介護施設で取り入れることで、利用者さんの心に懐かしさと喜びを届け、スタッフにとっても一緒に季節を感じる大切な機会となります。
10月6日の夜空に輝く満月を見上げながら、利用者さんの過去の思い出と今のつながりを重ね合わせる――そのひとときが、介護の現場にやさしい彩りを与えてくれることでしょう。
(広報担当)
