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BPSDとは・・・

今日は認知症のBPSDについてお話しします。BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)とは、認知症の中核症状(記憶障害や見当識障害など)に付随して現れる「行動および心理面の異常症状」を指します。かつては「周辺症状」と呼ばれていましたが、本人や家族の負担が大きいことから、中核症状と区別してBPSDという言葉が定着しています。

主な症状と具体例

以下に、ご家庭で介護度の高い方を抱える皆さまが直面しやすい代表的な11項目を挙げ、それぞれの症状像と主な背景・誘因を解説します。

不安

  • 症状像の例
    「ここにいても大丈夫かしら」「誰かが迫ってくる気がする」といった、根拠のない恐怖感や落ち着きのなさ。
  • 背景・誘因
    周囲の変化を正しく把握できず不確実性が増すことで発生。また、照明や物音の変化が感覚過敏を招き、不安を助長します。

妄想

  • 症状像の例
    「家の貯金を盗まれた」「誰かに隠し撮りされている」といった被害的な思い込み。
  • 背景・誘因
    記憶や現実認識の照合機能が損なわれ、誤った情報結び付きを真実と誤認します。

徘徊

  • 症状像の例
    目的地もなく玄関の鍵を開けようとしたり、庭や家周辺をぐるぐる歩き回る。
  • 背景・誘因
    見当識障害により「家に帰るべき場所」を探す行動とも解され、身体的不快(排尿感や疼痛)を解消するために動き回る場合もあります。

帰宅願望

  • 症状像の例
    「もう帰らなくちゃ」と夕方以降に繰り返し訴え、夜間に興奮状態となる。
  • 背景・誘因
    夕暮れ時の光量低下や家族行動とのズレが生体リズムを乱し、錯乱状態(サンダウン症候群)を助長します。

介護抵抗

  • 症状像の例
    入浴中や着替え時に「触らないで!」と身体をひねって拒絶する。
  • 背景・誘因
    プライバシー侵害感や痛み・恐怖心が増幅し、自己防衛反応として抵抗行動が現れます。

収集癖

  • 症状像の例
    新聞、空き缶、古い衣類などをため込み、片付けても繰り返し収集する。
  • 背景・誘因
    所有意識の異常や喪失恐怖、記憶障害による安心感欠如が過剰な物理的蓄積行動として表出します。

不潔行為

  • 症状像の例
    入浴や手洗いを拒否し、排泄後も拭かずに過ごす。
  • 背景・誘因
    自己清潔の手順忘却と身体感覚の鈍麻により、衛生行為自体を実行困難と感じるためです。

異食行為

  • 症状像の例
    紙片や布片、硬貨など食べられないものを口に入れようとする。
  • 背景・誘因
    口唇探索運動や味覚認識の誤動作に加え、本能的行動が残存することで発現します。

感情失禁

  • 症状像の例
    些細なことで突然大声で泣き出したり、腹を抱えて笑い出す。
  • 背景・誘因
    情動制御機能が低下し、感情の暴発が起こります。

夜間せん妄

  • 症状像の例
    深夜に急に興奮・混乱状態となり、ベッドから立ち上がって徘徊する。
  • 背景・誘因
    睡眠–覚醒リズムの破綻と身体的不調(疼痛や排尿衝動)、薬剤の影響が複合して生じます。

抑うつ

  • 症状像の例
    「もう何もしたくない」「生きていても意味がない」と涙ながらに訴え、食欲低下や意欲喪失を伴う。
  • 背景・誘因
    自己認識の喪失や役割喪失感、孤立感が心理的苦痛を増幅し、気分障害を誘発します。

締めくくりに──ご自身の“ケア”も忘れずに

以上のBPSD対応は、環境調整・身体ケア・コミュニケーション技法・非薬物療法など多面的アプローチが不可欠であり、その過程は介護者の心身リソースを著しく消耗させます。家族だからといってすべてを担わなければならないというプレッシャーは、長期的にはケアの質低下とご自身の健康喪失を招きかねません。

こうした状況下では、専門的知見と体制を備えた介護のプロフェッショナルへの委託を躊躇しないでください。ご自身が安定した心身状態を保ってこそ、ご家族への思いやりあるケアが可能となります。適切な支援体制を整えることこそが、ご家族と介護者双方のQOL(生活の質)を高める最良の選択であることを、どうか心に留めていただきたいと思います。

(広報担当)

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