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認知症ケアで大切にしたい“感情支援”──その意味と関わり方

こんにちは。マーガレット株式会社です。
今回は「認知症における感情支援」について取り上げます。

高齢化が進む中で、認知症はますます身近なテーマとなっています。記憶や判断力の低下といった認知機能の変化ばかりに注目されがちですが、私たちが忘れてはいけないのは、“感情”もまた重要なケア対象であるということです。

感情支援とは何か?

「感情支援」とは、認知症の方の心の動きや感情の変化に寄り添い、安心感や喜び、穏やかな気持ちを引き出すケアのことです。たとえば、不安や怒りの背景にある「わかってほしい」という気持ちに共感したり、笑顔になれるような時間を一緒に過ごすことも、感情支援の一つです。

言葉でのコミュニケーションが難しくなっても、感情はしっかりと残っています。
むしろ、言葉以外の「表情」「仕草」「声のトーン」など、非言語的な手がかりによって感情が表出されやすくなるとも言われています。

感情を支えるケアのあり方

では、認知症の方にとって「感情が支えられている」とは、どのような状態なのでしょうか?

近年、日本認知症ケア学会をはじめとする専門領域でも、「感情支援」や「共感的ケア」の重要性がたびたび取り上げられています。
たとえば、学会発表や研究報告では、「感情の記憶」や「本人の感情の尊重」に焦点を当てたケアの実践報告が見られます。

たとえ体験そのものを忘れてしまっても、「うれしかった」「ほっとした」という感情だけは記憶に残る──
このような考え方は、現場でもよく耳にするものです。感情支援は、単に記憶を補うのではなく、“その人らしさ”を支える柱といえるでしょう。

感情を尊重するケアのポイント

  1. 否定せず、まず受け入れる
    たとえば、誰かを「自分の母親」と言って話しかける場合、それが現実と違っていても、否定せず「そうだったんですね」と受け入れる姿勢が大切です。
  2. 共感を言葉にする
    「不安ですよね」「びっくりしますよね」など、気持ちを言語化してあげることで、相手の心に安心感が生まれます。
  3. 安心できる環境を整える
    物理的な安全性だけでなく、本人が“心地よくいられる空間”を意識しましょう。音や匂い、照明、職員の声かけも含めて「心を落ち着かせる要素」を考えることが感情支援につながります。
  4. 過去の記憶を活用する
    認知症になっても、昔の記憶が鮮明に残っていることがあります。子ども時代の話や趣味だったことをきっかけに、「懐かしい」「楽しかった」という感情を呼び起こす支援も有効です。

感情支援は“人間らしさ”を取り戻す時間

認知症ケアの現場では、「できなくなったこと」に焦点が当たりがちですが、「今もできること」や「今この瞬間の心の動き」に目を向けることで、関係性が豊かになります。

感情支援は、記憶や行動ではなく「その人の存在そのもの」を大切にするケア。
たとえ言葉を失っても、微笑みや涙に私たちは応えることができます。

これからのケアに求められること

認知症ケアに関わるさまざまな専門職・研究者の間では、以下のような視点が重視されつつあります:

  • パーソン・センタード・ケア(Person-Centered Care)
    一人ひとりの背景や価値観を尊重し、その人らしく生きられるよう支えるケア。
  • 感情の可塑性
    認知機能が低下しても、感情の受容や変化は続くという考え方。
  • 共感的コミュニケーション
    言葉だけに頼らず、表情や仕草で気持ちを伝え合うスキル。

私たちも、こうした研究や実践を日々の情報提供に活かし、感情支援を意識した視点でご案内できるよう努めています。

最後に

認知症の方にとって、“こころが安らぐ時間”はとても大切です。
不安や孤独を和らげるだけでなく、「私のことをわかってくれている」と感じられることが、安心と信頼の土台となります。

私たちは、日々多くのご相談を通じて、ご本人やご家族が安心して過ごせる環境づくりに何が求められているのかを感じています。
今後も、感情支援をはじめとする最新の知見や考え方をご紹介しながら、よりよい施設選びの一助となる情報を発信してまいります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(広報担当)

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